小松崎邦雄 『想う女』 油彩S20号 裸婦 彌生画廊個展出品作
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偶感
個展も、数えてみますと今度で15回目になります。勿論それは油絵ばかりではなくて、版画も水彩画も、ガラス絵もミニアチュールも含めての回数ですが、第1回展が1963年ですから丁度15年前になり、ざっと1年に1回の割合になりましょうか。
毎年秋の一水会展に出品する150号前後の大作と同様、僕にとってそれらの発表は、絵描きの道程の一里塚<一年塚?>というか、人生の節というか、生きていて仕事をした証だと言うべきものでしょう。従って主題(テーマ)と題材(モチーフ)とその扱い方も、その時代その時代の自分の気持ちなりのものになっていた様です。
学校時代の名残の人物群像から、子供が出来た頃の家族群像に移り、引っ越ししてから近所の牛乳屋の小さな牧場の牛が登場し、牛の結婚式などに想像がふくらんで完全に牛が主人公になった時代、ヨーロッパ旅行で明るい景色に驚ろいてからは青空がテーマになり、西洋人形を得てからは戸外の楽しさと安らぎを求め、それらの象徴として天使へとエスカレートし、天使はやがて人間に愛を感じて乙女が登場し、その娘達は現実の世界へ大きく回帰して、今回目の前に立つことになってきた訳です。画面の色調にしても、牛の頃まではメローなグレーが支配していましたが、一転して明るく澄んだ青空を追い求め、やがて地上の緑に囲まれるようになり、ここで又大きく変化して現実の重く深い黒が主調となってきています。
こうゆう変化が良いのか悪いのかは自分ではわかりませんが、少なくとも僕にとっては必然だった訳で、その時々の自分の気持ちに一番忠実でありたいと常に思ってきた事だけは確かです。絵描きのなかには、若い時から一貫した画風で自分のモチーフなりスタイルが不変で、一生ひたすらそれを堀さげてゆく強靭な意志と努力の人もいて、そんな生き方を羨ましく思う時もありますが、分相応というか人間百人百様の生き方があるのだとも考えます。
僕などは今頃になっても、まだまだ絵のなかでやりたいことが、年を追うごとに出てくる様で困ってしまいます。その上、絵を描くこと以外は全くの不趣味不器用で、枠に入れられたり型にはまったりするのがどうも大の苦手ときています。残り時間で果してどれだけやりたいことが出来るのかわかりませんが、片道切符ならぬ片道絵筆を持って、鈍行列車よ何処へ行く……といった案配で書き続けるしかなさそうです。
~「小松崎邦雄作品集」(彌生画廊第15回個展/1978年)に画家が語った巻頭のことば~
出品作品は第15回個展(彌生画廊/1978年)に出品された作品でその作品集に掲載されています。
作品集には代表作『ひとり』も掲載されていますがこれはS100号と大きすぎるため別として、
一般の人が飾れるそれ以外の掲載作品を見る限り出品作はトップ3に入るものだと思います。
その3作品のなかで他2作品はモノクロ写真ということもありますが、
実際に作品を目の前にすると「これがナンバーワンです」と
瞬時に言いきってしまうほどの圧倒的な作品力が伝わってきます。
また出品作は「小松崎邦雄自選展図録」(読売新聞/1982年)にも掲載されています。
【作家名】 小松崎邦雄